こみねゆらの絵本を紹介!本名は?出身大学や経歴もチェック!

洋裁画像 絵本

こちらのページでは、こみねゆらさんが繊細な人間模様を描いた創作絵本の数々を紹介します。

絵本作家・こみねゆらとは?

こみねゆらさんは、1956年熊本県出身の絵本作家・人形作家です。

高校を卒業後、3年の浪人を経て、東京造形大学油絵科に入学します。こちらの大学も楽しかったようですが、1年過ごしたのち、もともとの志望校だった東京芸術大学絵画科を再受験、見事合格し、1年生から入学します。こちらで油絵と少しの版画を学んだ後、同大学院に入ります。

そのころ、留学を志し、語学学校「アテネフランセ」で2年間フランス語学習に精を出ます。その甲斐あってフランス政府の給費生に合格。しかし、そのころフランスの財政難により、渡仏を1年間延期されます。その間に、雑誌「MOE」へイラストの投稿などを始めたそうです。

1985年に晴れて留学生としてフランスへ渡り、パリボザールに通います。あるときパリの絵本のブックフェアに出かけたとき、とてもデザインに凝った絵本を出版する会社を見つけたそう。そこで、その出版社から本を出したいと、絵を売り込んだとか。そして1992年、『Les deux soeurs(ふたりの姉妹)(コーザ・ベレリ・文)』をフランスで出版し、作家デビューを飾ります。その後、同じ作家と3冊出していくこととなりました。パリではそうして8年暮らし、その間、日本では雑誌「MOE」でイラストエッセイ「ゆららParisだより」を2年間連載をしたり、活躍します。そして、1994年に帰国。その後、絵本作家、また、人形作家として活動します。

こみねゆらの本名は?ペンネームの由来をチェック

「こみねゆら」は、ペンネームです。本名を並び替えて、ピックアップして作ったそうです。

大好きなマンガ家である大島弓子さんの作品『バナナブレッドのプディング』の主人公・三浦衣良(みうらいら)と響きが似ているので、気に入っているそうです。このペンネームができたのは、大学院の合否発表までの期間に、マンガを描いて過ごしていた期間、に投稿用に作ったそうです。こみねさんのマンガも、ちょっと見てみたいですね。

「こみねゆら」を並び替えたら…、年代的にもユミコさん?とか、ミネコさん?でしょうか。ピックアップしたというので、本名の全ての文字が入っているわけではないと思いますので、ない文字も考えると、いくつか想像できますね。

絵も文もこみねゆらが担当した創作絵本

以下は、こみねさんが1冊制作した絵本を紹介します。

こびとが洋服作りに奮闘する「もりのちいさなしたてやさん」

森で、小さな生物たちの洋服を仕立てているこびと三姉妹。ある日、小鳥に仕立てた洋服を見て気に入った王女様から、ドレス作りを頼まれます。3人は戸惑いつつも、ビーズで素敵な青いドレスを作り上げ…というお話。

可愛らしく、おとぎ話のようなきれいなお話ですが、王女の城専属にならないかという誘いに、森のお仕事があるからと断るところが、自立した現代女性のような、仕事にプライドをもった女性で、とてもすがすがしい気持ちになりました。

「もりのちいさなしたてやさん」

  • 作・絵:こみねゆら
  • 出版社:風濤社
  • 発行:2017年
【主人公】したてやさん
【脇役】王女

 

巡り巡る「オルゴールのくるくるちゃん」

「ミトちゃん」と呼ばれ、小さな女の子の家で暮らしていたくるくるちゃん。オルゴールの上で回る人形の彼女は月日がたち博物館で展示されたものの、一人音楽とテンポが合わず、学芸員に外されます。そして、風に吹かれて外に飛び出て、いろんな人の手を渡り、行き着いた先は…。という話。

うちの6歳の娘が、「すっごくいい話だった」と感動していました。大人が感動する話だと思うのですが、子どもでも心にしみるようです。ラストの終わり方が、読んでいて幸せになります。

「オルゴールのくるくるちゃん」

  • 作・絵:こみねゆら
  • 出版社:講談社
  • 発行:2015年
【主人公】くるくるちゃん(ミトちゃん)(※人形)
【脇役】おんなのこ

繊細な雰囲気を感じて「ミシンのうた」

洋裁店で見習いの女の子が、満月の夜ミシンに呼ばれた気がして一人、ミシンを走らせます。カタカタカタカタ、知らない村の光景が浮かびます。完成した洋服は大きすぎるもので誰が買うんだと、店の主人に怒られますが、買われていきます。そして次の満月の夜も…というお話。

みねさんの繊細な絵がお話にマッチして、世界観に没頭してしまいます。最後は、この先どうなったんだろう?と、想像の余地を残す終わり方です。

「ミシンのうた」

  • 作・絵:こみねゆら
  • 出版社:講談社
  • 発行:2014年
【主人公】わたし
【脇役】みせのしゅじん、客等

 

洋服選びが楽しい「しいちゃんふうちゃんほしのよる」

しいちゃんふうちゃんに招待状が届きました。「ほしまつりパーティーにきてね。」二人はかわいいおようふくを買いに、街で何軒かお店をまわります。そしておめかしして出かける、というお話。

お店に行ったときの絵が、洋服やアクセサリーがたくさん羅列してあって、女の子なら心躍ると思います。あれがいい、これがいい、なんて言いながら、楽しめると思います。よく見れば、街の人々はリスやウサギ、お人形さんみたいな人で、すべてがファンタジーになっています。

「しいちゃんふうちゃんほしのよる」

  • 作・絵:こみねゆら
  • 出版社:佼成出版社
  • 発行:2008年
【主人公】しいちゃん(女)、ふうちゃん(女)

 

家が縮む不思議なお話「ちいさなおひっこし」

あるおうちに住む夫婦と兄と妹の4人家族。だんだん子どものベッドや本棚が小さくなってきて、成長したのかと思いきや、何か違う?なんと家自体が小さくなっているようです。家族は庭に家を建てて、お引越しすることにして…という話。

家が縮むという不思議なお話。家具や食器まで小さくなって、小さい中で生活している様子がとても興味深く娘も読んでいました。最後はちょっとホラー?面白かったです。

「ちいさなおひっこし」

  • 作・絵:こみねゆら
  • 出版社:偕成社
  • 発行:2006年
【登場人物】おとうさん、おかあさん、おとこの子、おんなの子

こみねゆらが絵を添えた繊細な作品たち

 

子どももすぐわかるなぞなぞで楽しめる「なぞなぞでおやしきたんけん」


さやちゃんがおばあちゃんのおやしきにきた朝、窓から一匹の小鳥が。ねえいっしょにあそぼ、という鳥となぞなぞ遊びをします。「ちいさないきものがあかいドレスをひらひらさせておどるようにおよいでる。それはいったいだあれ?」。答えを探してお屋敷の中を探検する、お話。

答えはすべて絵の中に描いてあり、幼い子でも楽しめると思います。ページをめくると、答えが書いてあるので、わかりやすいです。さすがお屋敷というだけあって、素敵な洋館で雰囲気もいいです。

「なぞなぞでおやしきたんけん」

  • 作:石津 ちひろ
  • 絵:こみねゆら
  • 出版社:アリス館
  • 発行:2015年
【主人公】さやちゃん
【脇役】ことり、おばあちゃん

 

津波による母の喪失から歩みだす「月の貝」

東日本大震災で、母親を失った女の子のお話です。震災から半年後、祖母の家に預けられたえなは不思議な少年から月の貝というものをもらいます。月の貝は、月のように形を変えどんどん満ちていき、満月の夜、えなは不思議な夢を見て…。という話。

繊細なお話を、繊細なこみねさんの絵がイメージをふくらませています。闇夜や不思議な世界など、紺のようなグレーのような背景の色合いがどのページも美しいです。西村のばあちゃんや三谷のおじい、あやちゃんなど、波にのまれた知り合いも文面のみですが出てきます。

「月の貝」

  • 作:名木田恵子
  • 絵:こみねゆら
  • 出版社:小学館
  • 発行:2013年
【主人公】えな(女)
【脇役】おかあちゃん、おにいちゃん、ばあちゃん
【モブ】あやちゃん、西村のおばちゃん、三谷のおじい

 

月夜の遊泳シーンが素敵「つきよはうれしい」

あこちゃんはある日、交通事故に遭い怪我で入院します。魚が好きなようくんは毎日来て、毎日魚の話などで盛り上げてくれます。退院してからも学校に行くのを怖がるあこちゃん。月夜、あこちゃんは大勢の声に目を覚まし、外を見ると、ようくんが魚といっしょに外を泳いでいて…というお話。

ぼんやりとした月夜に、魚たちと幻想的な遊泳。空を泳ぐという幻想的なシーンで、こみねゆらさんの世界をいかんなく発揮しています。話は全編「わたし」視点で語られ、お母さんが物語の最後に「あこちゃん」と声をかけるので、主人公の名があこちゃんとわかります。

「つきよはうれしい」

  • 作:あまんきみこ
  • 絵:こみねゆら
  • 出版社:文研出版
  • 発行:2011年
【主人公】あこちゃん(女)
【脇役】ようくん(男)、おかあさん

 

ラストのどんでん返しがビックリの「あそびましょ」

日曜日、わたしはあやこをつれて原っぱへ行きます。アリやカエルに話しかけたり、あやこにシロツメクサを冠にしてもらったりして遊びます。わたしはあやこが大好き。だって…。という話。

最後の一文にビックリしちゃいます。私も子どもと一緒に読んでいて、最後のページに来たところで「えっ!?」って、声をあげてしまいました。全部で32ページの短いお話ですが、このどんでん返しには衝撃が走ります。

「あそびましょ」

  • 作:いしいむつみ
  • 絵:こみねゆら
  • 出版社:アリス館
  • 発行:2011年
【主人公】わたし
【脇役】あやこ

 

心温まる手袋のおはなし「ふゆねこ」

お母さんを亡くしたちさとのもとに、ももいろのマフラーをした猫が訪ねてきました。亡くなったおかあさんの依頼で、編みかけの手袋を仕上げに来た、とのこと。ねこは、手袋を仕上げて帰っていきます。その後、おじいちゃんとおばあちゃんがおかあさんからというプレゼントを持ってきて…。という話。

ものすごく心温まるお話です。母の遺した思いを遂げにきた訪問者という設定も、素敵な思いになりますが、最後にネコとのつながりもわかって、ホッとするのです。マフラーと手袋がとても暖かそうで、読んだ後はほっこりします。ねこの毛並みも繊細でとってもきれい。ラストが素敵で、個人的に名作に入れたい一冊です。

「ふゆねこ」

  • 作:かんのゆうこ
  • 絵:こみねゆら
  • 出版社:講談社
  • 発行:2010年
【主人公】ちさと(女)
【脇役】ネコ、おかあさん、おじいちゃん、おばあちゃん

 

自分の名前の由来を知る「さくら子のたんじょう日」

「わたしの名前ね、どうしてさくら子になったの?」2年生のある日、さくら子はおかあさんに尋ねました。そして、その由来になったという、桜をおかあさんと見に行きます。それは、一本の木ですが、下が栗で、上の方は桜の不思議な木でした。しかし、6年生になり、さくら子はあることに気づき始めていて…。というお話。

お母さんに聞くに聞けない、そんな女の子の思いが丁寧に描かれています。控えめな女の子の繊細なお話を、木の存在とともに優しく表現されています。

「さくら子のたんじょう日」

  • 作:宮川ひろ
  • 絵:こみねゆら
  • 出版社:童心社
  • 発行:2004年
【主人公】さくら子
【脇役】お母さん、山口さん、はるちゃん(故人・おば)

 

ファンタジックな「とおい星からのおきゃくさま」

ふくろうの森の天文台に、チカチカ星のチカチカ姫がやってきました。チカチカ姫とふくろうは、アイスを作り、食べます。そしてチカチカ姫は、星くず拾いのおしごとをしに、帰っていき…という話。

夜空の絵や星くずの雰囲気が、とても幻想的です。翌日、おひめさまは星くずを見ぬ間に置いて行ってくれますが、姿は見せません。星の王子様のようなお姫様のお仕事も、なんとも不思議で、可愛らしい。冬の静謐な空気漂うお話です。

「とおい星からのおきゃくさま」

  • 作:もいちくみこ
  • 絵:こみねゆら
  • 出版社:岩崎書店
  • 発行:2002年
【主人公】ふくろう
【脇役】チカチカ姫(女)

 

お引越ししちゃったお友達に「またあえるよね」


ある日公園に行ったかなは、クラスのなつきと一緒に遊びます。しかし、長期休みがあけると、なつきはお家の都合で急に引っ越したあとで…という話。
子どもたちって、離れ離れになったら、自分の意思で会うのって難しいですよね。そのさみしさと、次会うときの期待が入って、優しく見守ることができます。

「またあえるよね」

  • 作:あいはらひろゆき
  • 絵:こみねゆら
  • 出版社:教育画劇
  • 発行:2008年
【主人公】かな(女)
【脇役】なつき(女)

 

素敵なおうちの正体「パメラ・パティー・ポッスのあたらしいいえ」

パメラ・パティー・ポッスの素敵なおうちの紹介から始まります。そのうち、家の住人と目があったまり。まりは家に誘われますが…、というお話。

中盤まで、結構騙されてしまいます。パメラ・パティー・ポッスが実は…という話。「あそびましょ」と同じ作者による作品で、こちらも、どんでんがえしがあり、親子で驚きがあり楽しめると思います。

「パメラ・パティー・ポッスのあたらしいいえ」

  • 作:いしいむつみ
  • 絵:こみねゆら
  • 出版社:教育画劇
  • 発行:1998年
【主人公】まり
【脇役】お父さん、パメラ・パティー・ポッスほか

まとめ

こみねさんの作品を見ていると、小さくけなげな世界が繰り広げられていて、心を洗われるようです。
個人的に、熊本出身ということもあり、応援していきたい作家さんです。

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