酒井駒子(絵本作家)について!経歴と絵の描き方の変遷を解説!

幼児写真絵本

こちらのページでは、絵本作家・酒井駒子さんの経歴を紹介します。

酒井さんは、文章をほかの方が書いた絵本で挿絵として活躍されているものも多いですが、今回は酒井さんが文と絵両方を手掛けた絵本のなかでも子ども向けのものに着目し、「リコちゃんのおうち」「よるくま」シリーズ、「ロンパーちゃんとふうせん」「はんなちゃんがめをさましたら」を中心に解説します。

酒井駒子さんの経歴について!絵本作家になるきっかけは?

酒井駒子さんは1966年兵庫県生まれの絵本作家。東京芸術大学美術学部油絵科を卒業後、着物テキスタイルのデザイナーを5年ほどされたそうです。そののち会社勤めは合わないなあと感じはじめたころ、中学生の頃絵本を作りたかったという夢を思い出し、講談社絵本新人賞に応募し、みごと佳作受賞されました。また、「あとさき塾」という絵本作家養成ワークショップに通い、絵本について学んだそうです。

そして1998年「リコちゃんのおうち」で絵本作家としてデビューし、
2004年、あまんきみこ文の「きつねのかみさま」で第9回日本絵本賞を受賞、
2005年『金曜日の砂糖ちゃん』でブラチスラバ世界絵本原画展で金牌受賞
2006年『ぼく おかあさんのこと…』でフランスのPITCHOU賞、オランダの銀の石筆賞を受賞。
2009年湯本香樹実文による「くまとやまねこ」で第40回講談社出版文化賞を受賞、
ニューヨーク・タイムズの「2009年の子供の絵本最良の10冊」にも選ばれている

…など海外でも評価が高く、様々な賞も得ています。また、本やCDの挿絵も数多く担当しています。

酒井駒子さんの原点!白い背景の「リコちゃんのおうち」

今作が、酒井さんが一番最初に出した絵本です。現在の酒井さんの絵のイメージとはかけ離れた、シンプルで柔らかなタッチで描かれています。表情もイラストチックで、子どもにはわかりやすい画面。割と初めの頃にリコちゃんが段ボールのおうちに入ってから、お話はずっと会話文で進んでおり、マンガに近いものがあるかもしれません。酒井駒子さんの原点の絵本ですが、今ある酒井さんの絵とは違って内容も明るく、簡単に読めちゃいます。

リコちゃんが遊んでいると、おにいちゃんが邪魔をします。「もうやだ!リコはリコだけのおうちにひっこす!」というリコちゃんに、ママがドアや窓を切りぬいた箱をくれました。リコちゃんは自分のおうちを作り…、というストーリー。

お母さんがくれた箱はちょうどみかん箱くらいのもの。しかし、作中では箱の中に入れるサイズにリコちゃんが縮んで人形たちと同じ目線で遊んだり、子どもの空想力が掻き立てられます。最後はお兄ちゃんもおうち遊びに参加して、仲良く終わります。

 

「リコちゃんのおうち」

  • 作・絵:さかいこまこ
  • 出版社:偕成社
  • 発行:1998年
【主人公】リコ(女)
【脇役】おにいちゃん、ママ

暗い画面はここから始まった!「よるくま」

酒井さんの2作目は「よるくま」。この画面は、前作に比べ、暗い色になります。前作リコちゃんが明るいイメージで、自分としては違和感があったため、夜のおはなしが書きたかった、と酒井さんはインタビューで述べています。その後につづく、少し陰のある画面づくりが、ここから始まっていくのです。ただ、輪郭自体は柔らかく、ボールペンで描いたそうですが、この時はまだシンプルなラインとなっています。


夜に家におかあさんを探しにきたよるくま。ぼくは、よるくまとふたりでよるくまのおかあさんを探しに夜の町へ出かけ…というストーリー。

小さい男の子の、よるくまのために何かしてあげようとする姿が健気で、また、よるくまのお母さんを思うひたむきさも、読んでいてやさしい気持ちになります。夜の町を子どもだけで散歩するドキドキ感も、特別です。物語の始終、「ぼく」の目線で語られています。

「よるくま」

  • 作・絵:酒井駒子
  • 出版社:偕成社
  • 発行:1999年
【主人公】ぼく
【準主役】よるくま

よるくまは続編もあり、クリスマスをしらないよるくまに、クリスマスを教えてあげるストーリー。

「よるくま クリスマスのまえのよる」

  • 作・絵:酒井駒子
  • 出版社:偕成社
  • 発行:2000年
【主人公】ぼく
【準主役】よるくま

酒井さんの画法はここから!「ぼくおかあさんのこと…」

この本の制作中、線が粗めだったので、下地を黒にして塗ってから描くと、汚れも気にならず描きやすかったらしく、これ以降の作品は、黒い下地を予め塗るという工程になったそうです。これが、現在まで続く酒井さんの絵の技法です。荒く塗られた背景の下から除く黒が、なんとも言えない雰囲気を出しています。


おかあさんが大好きだけど、反発してキライ!といっちゃう男の子。うさぎの姿で可愛らしく表現されています。

「ぼくおかあさんのこと…」

  • 作・絵:酒井駒子
  • 出版社:文溪堂
  • 発行:2000年

ロンパーちゃんとふうせん

暗い色の画面が多い酒井さんの作品ですが、この「ロンパーちゃん」は全体的に白っぽい画面です。それは、あえて黄色い風船が目立つようしているからといいます。でも、それも黒く下地を塗ったうえで白を塗っているというひと手間を掛けているそうです。

町で風船をもらったロンパーちゃんは、風船をまるでお友達のように一緒におままごとをしたりして遊びます。しかし風で飛ばされた風船は木に引っかかって取れなくなり…というストーリー。

 

「ロンパーちゃんとふうせん」

  • 作・絵:酒井駒子
  • 出版社:白泉社
  • 発行:2003年
【主人公】ロンパー(女)
【脇役】おかあさん

技法の真骨頂「はんなちゃんがめをさましたら」

黒を下塗り技法を使い始めて、10年ほどたったこの作品は、背景色を塗り残しで下地の黒が垣間見える手法を意識して使っているのがわかります。それが効果的な雰囲気を作り出しています。ちなみにこちらはグレーの段ボール紙に描いたりしているそうです。

ある日目がさめたはんなちゃんはまだ夜だったことにびっくり。おねえさんをよんだけど、起きません。一人でトイレにいき、こっそりものを食べたり、一人でおもちゃと遊びます…。というストーリー。

大人が見てない間に一人で子どもが行動する様子を、とてもリアルに描いています。2~3つ上のおねえさんのものを、勝手に使っちゃうのも、兄弟あるあるでほほえましく見ることができます。仕草が何といっても可愛らしいうえ、こっそり「のぞき見」したような目線は、酒井駒子さんならでは。臨場感がありすぎて、絵本のこちら側の世界にもかかわらず、読んでる間はついつい息をひそめてみたりしちゃいます。

 

「はんなちゃんがめをさましたら」

  • 作・絵:酒井駒子
  • 出版社:偕成社
  • 発行:2012年
【主人公】はんな(女)
【脇役】おねえさん

酒井駒子さんまとめ!

下地に黒を塗るという酒井さん独特のスタイル。現在の唯一無二のアンニュイな雰囲気あふれる絵にたどり着くまで、酒井さんの試行錯誤がみてとれました!でもやっぱり才能あるからできる技なんですよね~。私がやったってこうはいかない…。これからも酒井さんの絵を見続けていきたいです。

 

参考:
月刊MOE 2018年10月号 P24~43
楽天ブックス「私の本棚 酒井駒子さん行きて帰りし、物語の世界」https://books.rakuten.co.jp/event/book/interview/spinoff/

 

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