我が家では冬の定番絵本となっている「てぶくろ」。
ウクライナの民話で、とてもシンプルなお話ですが、子どもたちは読むとすごく引き込まれていきます。
数年前に上の子は保育園でこのお話の劇をしました。今回は下の子もだいぶお話がわかるようになったので、読もうと思って出してくると…「保育園でみた」と言います。園に先越されたか~!夏には何となく読まずにしまうからですね~。それほど園では定番になっているのでしょう。
いつの世になっても子どもも魅了してやまない「てぶくろ」について紹介します。
絵本「てぶくろ」とは
「てぶくろ」とは、ウクライナの民話です。
元が民話のため、様々な作家による色んなバージョンがありますが、日本では、ロシアのエウゲーニー・M・ラチョフ氏が1951年に描き、その後1965年に内田莉莎子氏の邦訳で福音館書店より出版されたものが有名で、現在にいたるまで版を重ね、愛され続けています。
今回はこの福音館書店版を主に紹介していきます。
「てぶくろ」
- 作・絵:エウゲーニー・M・ラチョフ
- 訳:うちだりさこ
- 出版社:福音館書店
- 発行:1965年
あらすじは?
おじいさんと子犬が森を歩いていきました。おじいさんは手袋を片方落とし、そのまま行ってしまいました。
するとねずみが潜り込んで、「ここで暮らすことにするわ」といいました。
そこへかえるが跳ねてきて、「だれ?手袋に住んでいるのは?」と訊きます。すると、「くいしんぼねずみ。あなたは?」「ぴょんぴょんんがえるよ。わたしも入れて」「どうぞ」と、かえるも中へ入ります。
そこへうさぎがやってきて、入っているのは誰か尋ねると、「くいしんぼねずみとぴょんぴょんがえる。あなたは?」「はやあしうさぎさ」と、うさぎも入ることになりました。
きつねもやってきて、入っているのが誰かたずね、「おしゃれぎつねよ、私も入れて」と入ります。
おおかみもやってきて、「はいいろおおかみだ、俺も入れてくれ」と言うと、「まあいいでしょう」と入りました。
いのししもやってきて、「きばもちいのししだよ、私も入れてくれ」と言うと、「ちょっと無理じゃないですか」「いや、どうしても入って見せる」「それじゃどうぞ」と、ぎゅうぎゅう詰めに入りました。
そこへくまがやってきて「うおーうおーのっそりぐまだ。わしも入れてくれ」と言うと、「とんでもない。満員です。」「いや、どうしても入るよ」「仕方がない。でも、ほんの端っこにしてくださいよ」とくまも入り、今にもはじけそう。
さて、森を歩いていたおじいさんは手袋がないのに気づき、引き返しました。先に子犬が駆けていき、むくむく動く手袋を見つけます。子犬が吠えると、みんなビックリして手袋から這い出し、逃げていきました。そこへおじいさんがやってきて、手袋を拾いました。
対象年齢は?
絵本には、「読んであげるなら3歳から、自分で読むなら小学校初頭向き」と書いてあります。
しかし、2歳後半のわが子も理解して聞いていました。そして、特にこの本は季節感が重要なので、2歳でも冬であれば、読んであげてもいいと思います。
感想は?
なんで、クマやイノシシが犬を恐れて逃げるんだろ
なんで、クマやイノシシやオオカミやキツネが人の手袋に入るの?
おじいさんが手袋見つかってよかったね
おもしろかった。
…といった具合。
上の8歳児6歳児の疑問は、もっともだと思います。しかし、それを越えて楽しめるのが絵本の世界。
物理的な限界を超えて、想像して楽しめますよね。クマやイノシシも狭い袋の中に入ってぎゅうぎゅう詰め。雪の中のお話ですが、読んでいて寒くありません(笑)。おしくらまんじゅう状態ですからね~。
私は…
クマやイノシシも入ってくるところ、先に入ってたメンバーの微妙な反応も面白い。
と思いました。
「てぶくろ」新バージョンもある?
今回の「てぶくろ」は福音館書店のエウゲーニー・ラチョフさんバージョンをお話しましたが、実は同じ作者による、異なる絵のバージョンも存在するそうです!
福音館版のものは、1951年の旧ソ連時代に出されたものを重版してきたものです。
しかし、当時の印刷技術があまり良くなかったため、原画の一部が傷んで、原画からは印刷できなくなってしまったそうです。そのため、1978年に、新しい民話集『麦の穂』の制作の際に、ラチョーフ氏は新しく「てぶくろ」の絵を手掛けたそう。
その絵による「てぶくろ」を、田中潔氏訳でネット武蔵野社により2003年に出版されたのがこちらの本。この絵本の中身を見ると、全体的に淡く可愛らしくなっています。動物たちにも表情が出てきて、子どもには親しみやすいかもしれません。
福音館版もネット武蔵野版も、どちらも良さがあり、どちらも楽しめます。
「てぶくろ (ウクライナ民話 ラチョーフ・シリーズ 1) 」
- 作・絵:エウゲーニィ・ラチョーフ
- 訳:田中潔
- 出版社:ネット武蔵野
- 発行:2003年
英語版もある?
原著はロシア語ですが、そのシンプルでわかりやすいストーリーから、英語版も人気です。英語と日本語によるCDがついています。
「THE MITTEN」
- 作・絵:エフゲーニー・ミハイロヴィチ・ラチョフ
- 英訳:松居スーザン
- 出版社:ラボ教育センター
- 発行:1997年
まとめ
絵本ならではの展開と、本格的な絵による「てぶくろ」。
冬の季節ですが、読んでいてぬくもりを感じることができると思います。クリスマスの贈り物などにもピッタリです!
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