こちらのページでは野村たかあきさんの「おばあちゃんの行事絵本」シリーズを紹介します。
日本の行事ものが楽しく描かれている絵本
日本の季節行事は様々にあります。その多くは、家族で楽しむようなものですが、本来はどういったものなのかよくわからない…、家族ではどう過ごせばいいのか?という疑問がわくこともあります。今回は、野村たかあきさんの版画による親しみやすい絵でおばあちゃんが教えてくれるシリーズものを紹介します。
この「おばあちゃんの行事食シリーズ」で描かれる「鈴村家」は、担当編集者の鈴木さんと、作者の野村さんの名字から一字ずつとって、鈴村家になったそう。食事はただ食べるだけのものではない、文化でもある、という思いから、少しずつ失われている行事の食事をテーマに作ろう、ということで、このシリーズがうまれたそうです。地方によって、味つけなどが異なるので、家庭で作ることが大事、と、野村さんはテレビのインタビューでおっしゃっていました。また、ご自身もおばあちゃんっ子だったことから、そういうおばあちゃんの姿が投影されているそうです。
家庭の中でやさしくおばあちゃんが行事を紹介する絵本、それがこのシリーズです。行事の説明と、家族の団らんの様子がうまい具合にまとまっていて、すんなり入ってきます。行事、という特別なときではあるんだけど、家族の日常のなかにある、というのがよくわかる本です。
年末年始の過ごし方ーおばあちゃんのおせち
きりちゃんの料理デビューかな?仲良し家族が和気あいあいと年末を過ごす様子が語られています。おせちづくりだけでなく、12月28日からカウントダウン的に、大掃除の様子なども描写しています。巻末には、おせち料理のいわれとして、こぶまき、くりきんとん…など、一品一品の由来が書かれています。
「おばあちゃんのおせち」
- 作・絵:野村たかあき
- 出版社:佼成出版社
- 発行:2008年
【脇役】こうた(弟)、おとうさん、おかあさん、さかなやのみつさん(女)、
1月7日はーおばあちゃんのななくさがゆ
七草を見つけて帰ったら、おとうさんが持って帰ったのはスーパーの七草パック。現代だな~!版画による素朴な絵なので、昔からある絵本っぽく錯覚してしまいますが、話は2010年に入ってからの現代の話です。七草を実際全種類見つけるのは大変ですが、こういうパックを用いるのも、現代の賢いやり方ですよね。巻末には七草粥の作り方が載っています。
「おばあちゃんのななくさがゆ」
- 作・絵:野村たかあき
- 出版社:佼成出版社
- 発行:2014年
【脇役】こうた(弟)、おとうさん、おかあさん
節分の豆知識満載!おばあちゃんのえほうまき
今回は豆知識がもりもりです。イワシの頭、節分の暦、恵方巻の具や食べ方、福豆…。結構情報を入れているのですが、ちゃんと家族での団らんエピソードも要所要所で入っていて、楽しんで見ることができます。おとうさんはきりちゃんをきりか、と本名で読んでいます。
巻末には恵方巻の作り方が載っています。
「おばあちゃんのえほうまき」
- 作・絵:野村たかあき
- 出版社:佼成出版社
- 発行:2010年
【脇役】こうた(弟)、おとうさん、おかあさん
3月3日の桃の節句はーおばあちゃんのひなちらし
今回、ひなちらしなのですが、おばあちゃんがすべて教えてくれます。なので、お母さんもその場にいるのですが、ちょっと影が薄めです。お父さんは「きりかはおよめになんかやらないぞ!」といったり、笑ったりと、家族で団らんする様子も描かれています。1月の正月から始まって、3月にはちょっときりちゃんの料理に成長が!良かったね~!
巻末はひなちらしの作り方が載っています。
「おばあちゃんのひなちらし」
- 作・絵:野村たかあき
- 出版社:佼成出版社
- 発行:2015年
【脇役】こうた(弟)、おとうさん、おかあさん
お彼岸(春分・秋分の前後7日)にーおばあちゃんのおはぎ
今回はきりちゃんがお料理を大好きになったきっかけである、亡くなったおじいちゃんとのエピソードが語られています。お彼岸なので墓参り等の描写もあり、おじいちゃんに思いを馳せます。語りの文や普段の呼び方は「きりちゃん」ですが、おじいちゃんから呼ばれるときや自分を呼ぶときは、「きりか」のほうを使っています。
巻末にはおはぎの作り方が載っています♪
「おばあちゃんのおはぎ」
- 作・絵:野村たかあき
- 出版社:佼成出版社
- 発行:2011年
【脇役】おじいちゃん(故人)、こうた(弟)、おとうさん、おかあさん、しんいちおじさん、けいこおばちゃん
おばあちゃんの行事食シリーズまとめ
以上、微笑ましく団らんを見ることができるおばあちゃんの行事食シリーズでした。きりちゃんは今年初めて教わるスタンスで描かれているので、もしかしたら、きりちゃんは今年からおばあちゃんと同居を始めたのかもしれません。おばあちゃんと三世代仲良く暮らす、その風景も日本行事のひとつなのかもしれません。
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