野村たかあき(絵本作家)のプロフィール!書籍は?落語と版画もチェック!

木彫りイメージ画像 作家

こちらのページでは、絵本作家・木彫家である野村たかあきさんについて解説します。

絵本作家であり木彫り作家・野村たかあきの経歴

野村たかあきさんは、木彫り作家と絵本作家、どちらも両立して活動してらっしゃいます。ふたつの間に何の共通点が?と思う方もいることと思います。でも、それは野村さんの絵本の手法を知ると納得するはず。
それは、野村さんの絵本の大半は、「版画」なのです。

野村たかあきの経歴は?弟子入り志願した、イラストレーターYとは

野村たかあきさんは1949年群馬県前橋市生まれ。
15歳の頃、円空という独特の作風で仏像を数多く彫り上げた江戸時代初期の僧の作品に出会い、木彫りを始めます。
高校を卒業後、上京し、印刷会社で3年間働きます。それと並行して、日本宣伝美術会というデザインを志す新人の登竜門に応募したりしていたそうです。また、この頃、のちに大ブレークするイラストレーターYさんの元へ弟子にしてくださいと押しかけたりもしていたそう。

イラストレーターYさんとは、どなたなのでしょう。当時はまだ知る人ぞ知るって感じだった、と野村さんはおっしゃっているので、1967~1969年頃と思います。70・80年代になって大ブレークしたイラストレーターでY…といえば、数人挙げれると思いますが、横尾忠則氏や柳原良平氏は60年代はすでに有名な気がしますし、作風もだいぶ野村さんとは異なる気がします。柳たかをさんは野村さんと作風は近いですが、同学年なので、師匠!ってほどでもないですね。でも、弟子は取らないと突っぱねられ、野村さんの絵をみて「イラストレーター業界に向いてない」と言われたりしたそうですが、帰郷の際には、野村さんデザインで、Yさんの事務所の封筒を作る仕事をもらったそうです。イラストレーターY、どなたなのか気になるところです。

版画と絵本を始めるきっかけとは

野村さんが20歳のとき、子どもの遊びをテーマに木彫りの個展を開いたそう。そのとき、スペースがあいたので、畳1畳の大きさ(!)の版画を作ったそうです。すると案外そちらのほうが評判がよく、版画を好感触に思ったとか。

そして同じ頃、円空作の仏像が1000体以上残る岐阜県の、飛騨高山の民宿に1年間ほど働きながら滞在していたそう。その時、出会ったのが講談社のIさん。

その人と、ハガキのやりとりを続けていたところ、30歳頃、当時勤めていた会社をやめて独立する旨のハガキを出したとき、このIさんから「これからどうするんだ?」と言われ、講談社のしかるべき部署に絵を見せることを勧められたそう。絵本を作ったのは、この独立するとき。保育園児だった長男に、お父さんは今後独立してこういう仕事をする、と示すために作ったのが、のちに講談社絵本新人賞となる「ばあちゃんのえんがわ」の原型だったそうです。

そして1983年に木彫・木版画工房「でくの房」を主宰、そして『ばあちゃんのえんがわ』で講談社絵本新人賞を受賞します。

1989年には、「おじいちゃんのまち」で第13回絵本にっぽん賞を受賞、のちに英語版も出版されます。

野村たかあきさんの主な書籍

版画の持ち味を生かした、古典題材のものや素朴なお話が多いです。

創作絵本

「おじいちゃんのまち」

  • 作・絵:野村たかあき
  • 出版社:講談社
  • 発行:1989年(旧版)・2004年(新装版)

おばあちゃんの行事食シリーズ

食べ物を中心に日本の行事を描いたシリーズは、とても親しみやすく、現在まで5冊出ているなど人気を誇ります。

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落語・狂言題材の絵本シリーズ

野村さんは落語がお好きで、落語が題材の絵本を今までに三冊出してらっしゃいます。

人間国宝の柳家小三治氏監修です。

「しにがみさん」「ねこのさら」「しばはま」

  • 作・絵: 野村 たかあき
  • 監修: 柳家 小三治
  • 出版社:教育画劇
  • 発行:2004年(しにがみさん)・2017年(ねこのさら)・2018年(しばはま)

また、狂言題材のものもあります。

「せつぶん」

  • 作:もとしたいづみ
  • 絵:野村たかあき
  • 出版社:講談社
  • 発行:2009年

 版画の味が活きる絵本挿絵

「ないたあかおに」

  • 作:浜田廣介
  • 絵:野村たかあき
  • 出版社:講談社
  • 発行:2013年

 

イラストの絵本

版画ではなく、イラストの絵本も存在します。丁寧に描かれているのがわかります。

「ヒロシマのいのちの水」

  • 作:指田 和
  • 絵:野村たかあき
  • 出版社:文研出版
  • 発行:2009年

紙芝居

2019年現在、「おにぎりなっぱ」「まねきねこのたま」「わし、たわし!」「おにたとおふく」の4作品あります。「わし、たわし!」はたわし主人公の珍しくコミカルな作品です。

野村さんは版画なので主線が太く、遠くからでも見えやすいですよね。紙芝居に最適かもしれません。

「ミネルヴァ日本歴史人物伝」の挿絵

このシリーズは、人物によって異なる挿絵作家が担当していますが、野村さんは、西郷隆盛のほか、歌川広重、坂本竜馬、伊達政宗、近松門左衛門、源頼朝…と、花形の人物ばっかりです!

「ミネルヴァ日本歴史人物伝」

    • 作:西本鶏介
    • 絵:野村たかあき
    • 出版社:ミネルヴァ書房
    • 発行:2011年(坂本竜馬・源頼朝)・2012年(歌川広重・西郷隆盛)・2013年(近松門左衛門・伊達政宗)

木彫り作品や鬼の版画作品の取り扱いは

調べてみましたが、書籍以外の作品は一般に出ていないようです。

しかし、前橋市の自身の工房「でくの房」には鬼をテーマにした木彫り作品が多く展示され、また、毎年「鬼の版画ごよみ」というカレンダーを販売しているそうです。

野村たかあきさんのまとめ!

15歳より木彫りを始め、20歳には「子どもの」遊びがテーマの個展で版画…と、若い時から精神年齢がお高い早熟な作家活動をされていると思いました。日常を温かく描くその手法は、現在の絵本界でもっと評価されるべきと思います!木彫りも絵本も、精力的に活動され、目が離せません。

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