「ちくわのわーさん」「うどんのうーやん」に続くシリーズ3作目の「こんぶのぶーさん」。今作は、関西色が全面に出た漫才がテーマです。うちの6歳児はこの漫才のくどさを気に入っていましたので、今回はこの絵本を解説しようと思います。
こんぶのぶーさんとは
こんぶのぶーさんあらすじは?
海から上がったこんぶのぶーさんは、昼寝をしていると、乾燥昆布になってしまいました!おそうざいやさんでこぶまきにしてもらって再び柔らかくなり、なぜか漫才師を目指すことに。相方オーディションを開催して、メザシやゆでたまご、カマボコなど見ますが、意中の人が見つかりません。そのうち、おにいちゃんのこんさんがやってきて、ふたりで漫才をはじめることに…。というお話。
「こんぶのぶーさん」
- 作・絵:岡田よしたか
- 出版社:ブロンズ新社
- 発行:2013年
こんぶのぶーさんのみどころは?
今作は、漫才をするため相方探してオーディションをするという展開。食べ物同士が漫才で掛け合いをするというシュールなお話になっています。昆布はそのままだとほっとけば乾燥してしまうからか、昆布巻きに自ら加工してもらいます。このときかんぴょうを巻いてもらったことで、手を獲得し、より人間に近い形で動けるようになります。ツッコミの見せ方にも注目です。
こんぶの日干しってどのくらいかかるの?
昼寝していて天日干しにされたぶーさんですが、昆布ってどのくらいで乾くものなのでしょうか?
塩昆布で有名な「くらこん」のサイトによると、晴天の日であれば、4~5時間で乾くそうです!結構早いですね。ぶーさんが油断した理由も納得です。
なぜこんぶなのか
今回、昆布を主人公にした理由は、作者の岡田よしたかさんの奥様がつぶやいた「こんぶのぶーさん」という言葉がおかしくて、いつかそのタイトルで絵本描こうと思ってたからだそう。あたためていたネタがようやく形になったんですね。でも奥様ご本人は覚えていないのだとか。それにしても、「こんぶのぶーさん」なんて言葉がポッと出る奥様も、とてもユーモラスな方なのでしょう。
出てくるキャラクターについて!
相方候補に挙がったキャラたち
- こんぶのこんさん
主人公の兄で相方に選ばれた。あとから出てきておいしい役どころです。 - メザシさん
シリーズの別作品「うどんのうーやん」でも登場!脇役として定着? - あずきひとつぶ
小ささの象徴ですね - ゆでたまご
真っ白でまん丸だから表情が読み取りにくいですよね - カマボコくん
板付なので立ってしまうとほぼ板しか見えない状態に。 - くしカツ、コロッケ、アジフライ、エビフライ、イカリング
のちのシリーズの別作品「ぼくらはうまいもんフライヤーズ」の主人公たちですね! - モンブラン
外国人として。モンブランの言う「ソルテ ドン セラ マンボ ポ トゥワ」のセリフの意味を探しましたが、定型詩とかではないようです。翻訳などしてみましたが、うまくできませんでした。「フランス語を真似た意味のない語」と解説している方もいます。 - そのほかチョイ役には…
「ちくわのわーさん」に出てきたちくわのわーさん、ドーナツのほか「さくらもちのさくらこさん」に出た三色だんごらしきキャラがチラっと出てきます。
「こんぶのぶーさん」対象年齢は?
日本児童図書出版協会による、「こどもの本 on the web」で調べると、2歳、3歳、4歳から学齢前となっています。
しかし今作は、「まんざい」「あいかた」がテーマのため、それを理解できるかがカギだと思います。作者の岡田氏も、こんぶのぶーさんの兄弟による漫才の掛け合いとかは、理屈が入るので子どもには相当難しいと思う、とおっしゃっています。
そこで、実際に2,4,6,8歳の4人のわが子に読み聞かせてみました。その結果…
- 2歳児…話を理解できてなかったものの、相方としてそれぞれの食べ物の絵が結構大きく描かれているので、その絵を指さして食べるふりなどして遊ぶ
- 4歳児…話はやはりうまく理解できないものの、ぶーさんがへたれたり、かんぴょうで手のように突っ込んだりする仕草に笑ってました。
- 6歳児…ちょっとむずかしそうでしたが、関西弁によるノリを楽しんでました。
- 8歳児…細かいツッコミなども理解して、笑ってました。
という感じです。
こうしてみると、年齢によって、絵本も段々に楽しめるんだなあ…と、ちょっと感動しております。幅広く楽しめるんですね。
一応、話もそれなりに理解して楽しむなら個人的な対象年齢は、5,6歳から小学生とおもいます。
こんぶのぶーさんまとめ
このこんぶのぶーさんは、年齢別の絵本の楽しみ方が顕著に異なる絵本ということがわかりました。話を完全に理解できなくとも、絵がとてもユーモラスなので、幼くても楽しめます。読み聞かせてもどの子も楽しめたようで、心に残る一冊でした。
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参考URL
文春オンライン 絵本作家岡田よしたかインタビュー#1 https://bunshun.jp/articles/-/8455
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