今回は絵本「いもうとのにゅういん」について紹介します。
タイトルの通り、妹が入院するお話ですが、柔らかい絵で優しく描かれ、お姉ちゃんとしてのの成長が描かれている話です。この絵本はさらに見どころがあります。それは2冊の本とのつながりがあること。それを知ると、ますますこのお話の楽しみが増えます。
「いもうとのにゅういん」のあらすじのネタバレ
ある日あさえが幼稚園の友達のひろちゃんと帰ってくると、お人形のほっぺこちゃんが元あったところにいません。「あやちゃん!わたしのほっぺこちゃんをかえしなさい!」と大声を出すと、お母さんが妹のあやちゃんをおんぶしてベッドの部屋から出てきました。あやちゃんはぐったりしており、病院につれていくところと言います。お母さんはほっぺこちゃんを渡して、「すぐかえるから、ふたりであそんでいなさい」と出かけてしまいました。
まもなくお母さんは帰ってきて、あやちゃんが盲腸の手術になると言いました。「お父さんに電話をしておいたわ。すぐかえってくるはずなの。それまでふたりで大丈夫ね?」と、入院の支度をしてお母さんは行ってしまいました。急に空が暗くなり「あたし、もうかえる」とひろちゃんは帰っていってしまいました。
そのうち稲妻が鳴りました。あさえはベッドにもぐり、ほっぺこちゃんを抱きしめました。「ほっぺこちゃんこわくなんかないわね。あやちゃんは大丈夫よね…」
と、突然目の前が明るくなり、お父さんが電気をつけて「ごめんごめん。これでも超特急で帰ってきたんだよ」と言いました。お父さんと二人だけで夕飯を食べると、電話が鳴りました。お母さんから手術の成功と、今夜病院に泊まること、明日お見舞いにきてね、という旨の電話でした。「うん…」あさえはそれだけしか言えませんでした。
夜、あさえはおみまいに何持っていこう…と折り紙を折りました。あやちゃんがもっと喜ぶものって何かしら…と考えたとき、「そうだ!そうしよう!」とひらめき、大きな紙包みをつくりました。
次の日おとうさんと病院に行くと、あやちゃんは点滴をしていました。あさえは昨日作った紙包みを渡しました。あやちゃんが包みをあけるとそれはほっぺこちゃんでした。「おねえちゃん、ほっぺこちゃんをくれるの?」の問いに、あさえは力を入れて頷きました。「あさえちゃん。たった一晩で本当に大きなお姉さんになったのね」と、お母さんがあさえの肩を抱いてくれました。
というお話。
「いもうとのにゅういん」
- 作:筒井頼子
- 絵:林明子
- 出版社:福音館書店
- 発行:1983年
【脇役】あやちゃん(妹)、ひろちゃん
「いもうとのにゅういん」の感想!
今回のお話は、妹が入院し、お姉ちゃんのあさえが一人の時間やお父さんと二人きりの一晩を過ごすという少し厳しいお話です。それでも、そのなかからお姉ちゃんのやさしさあふれる展開で、ほっこりとします。
ちなみにうちの子は…
盲腸ってなに?
これはそんなに怖くはなかった
「はじめてのおつかい」の子が出てくるね
…(黙ってみている)…。
てな感じでした。2歳児にはちょっと早かったのか、中盤で遊び始めてしまいました。この話は、「入院」という題材ですが、過去の筒井作品と比べて、緊張感はそこまで感じていないようでした。優しい印象のほうがあるようです。そして4歳児が指摘した通り、この絵本は、「はじめてのおつかい」のキャラクターが画面にいます。のちほど紹介します。
ちなみに私は…
林明子さんの今までの繊細な絵と違って、なんだか光にあふれた柔らかい絵だな…
と思いました。細部まで繊細に描かれた今までの作品と異なり、今作は窓の外は白く抜かれていたり、全体的に白く、光を意識した絵になっていると思います!
「いもうとのにゅういん」と同じ世界の二冊
この「いもうとのにゅういん」は、同じ世界観でつながってる絵本があります!
ひとつが同じあさえとあやちゃんの「あさえとちいさいいもうと」です。
「いもうとのにゅういん」より、幼い頃が描かれています。今作に対してこの「あさえとちいさいいもうと」は、細密に描かれています。
詳細は以下!
そしてもうひとつが名作「はじめてのおつかい」!
この本の詳細は以下
「いもうとのにゅういん」では、この「はじめてのおつかい」に出てくるキャラクターが背景に出てくるんです!
我が家で見つけたのは以下
- 主人公みいちゃん
- タバコのおじさん
です。
病院へお見舞いに行ったところで、「はじめてのおつかい」の主人公のみいちゃんと思われる女の子が、病院の自販機の前で牛乳(!)を買っています!その横にはお母さんと抱っこされている赤ちゃん。
近くには、タバコのおじさんが松葉杖ついて立っています。わが子は、「おじさん、ケガしてる!どうしたんだろう?」と興味津々でした。
「はじめてのおつかい」ファンには嬉しいギミックですね!是非確かめてみてください!
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