あさえとちいさいいもうと(絵本)のあらすじと感想!怖い?あの名作との関連は?

あさえ画像 絵本

先日、何の気なしに図書館で借りてきた絵本を子どもと読んでいると、アレ?この背景にいるこの子どもって…?と私が思うのと同時に、

「あっ!!この子、『はじめてのおつかい』の…!」

と、4歳息子が叫びました。

この絵本には背景に小さく、「はじめてのおつかい」の主人公・みいちゃんが描かれていました。そしてそのほかにも…。さらに調べてみると、同じようにみいちゃんたちが出てくるもう一冊の絵本があり、2冊は姉妹本として存在することもわかりました。今回は「あさえとちいさいいもうと」について紹介します。

「あさえとちいさいいもうと」のあらすじのネタバレ

ある日あさえが玄関前で遊んでいると、おかあさんが「銀行に行ってくるわ。すぐ帰ってくるから待っていてね」、と出かけていきました。妹のあやちゃんは寝たばかりと言って置いていきました。

と、玄関のドアの向こうで鳴き声がします。あやちゃんが起きてきたのです。あさえは、あやちゃんに靴を履かせてやり、「おねえちゃんがあそんであげる」と、チョークで道に線路を描きました。あやちゃんは上を「ちゅっぽ ちゅっぽ!」と歩いてきます。あさえはあやちゃんを喜ばせたかったので夢中で線路を描きました。

「あやちゃん、できました」とあさえが顔を上げると、あやちゃんがいません。辺りを見回しましたがどこにも見当たりません。

すると、ききーっ!と、大通りから自転車の音がしました。あさえが行ってみると、あやちゃんではありませんでした。ほっとしつつ「あやちゃんはどこだろう?」「そうだ公園だ!」と向かうと、遠くに小さな女の子を見つけました。「あやちゃん!」と呼びかけましたが女の子は進んでいきます。あさえが駆け寄ると、それは知らない女の子でした。

あさえがまた走っていくと、角の向こうで子どもの鳴き声がしてはっとしました。角から男の人が知らない女の子をひきずりながら出てきて、「お父さんの言うことを聞かない子はゴンだぞ」と言いつつ去っていきました。

「あやちゃんあやちゃんあやちゃんあやちゃん…」公園につくと、あやちゃんは砂場で遊んでいました。あさえは物も言わずあやちゃんに駆け寄ると、あやちゃんはにこっと笑って手をあげました。

…という話。

【主人公】あさえ
【脇役】あやちゃん(妹)、おかあさん
【チョイ役】知らない女の子、知らない親子

「あさえとちいさいいもうと」

  • 作:筒井頼子
  • 絵:林明子
  • 出版社:福音館書店
  • 発行:1982年(1979年初出)

「あさえとちいさいいもうと」の感想!怖い?

お母さんが幼い姉妹2人を置いて出かけ、さらにその子らは外へ出ていってしまうという今ではありえないようなストーリー。冒険譚として子どもはハラハラドキドキ、大人はもう危なっかしくて見てられないというところかもしれません。

でも絵本は大人の常識でがんじがらめにはかってはいけませんね。この絵本は、その設定を上回る、子どもの頑張りとドキドキ感が魅力です。

ちなみにこの絵本はほとんどのページが、子どもの目線で描かれています。そのため大通りの車の大きさや、あとは中盤の「いうことをきかないとごんだぞ!」のおじさんは、子ども目線のため頭部は見切れて画面に入っていません。肩から下のみです。そのことが「いうことをきかないとごんだぞ」という今ではNGであろうセリフとともに怖さを倍増させます。

ちなみにわが子4人の感想…

8歳児
8歳児

あやちゃんがだいぶ遠くまでいってたね…

6歳児
6歳児

怖くない。「はじめてのおつかい」のタバコのおじさんの方が怖いもん

4歳児
4歳児

「はじめてのおつかい」の女の子いたね!

2歳児
2歳児

…(黙って聞いている)…。です。

8歳児はちょっと常識ではかれるようになっているので、あやちゃんがおもいのほか遠くにいるの驚いていました。6歳児は、本の印象です。でも、彼女的には怖くはなかったそう。4歳児はまだ字が読めないので絵をずっと眺めていたわけですが、終盤ではじめてのおつかいのみいちゃんを自分で見つけたのでその達成感が強かったようです。2歳児は中盤からは離脱しましたが割と静かに聞けていました。ちなみに私は、

私

絵が「はじめてのおつかい」より繊細に描かれている…。子どものぷっくりした感じも良く出てる…。

と思いました。今作は絵もとてもきれいに描かれています。

 

「あさえとちいさいいもうと」の絵探しのネタバレ

我が家でみつけた「はじめてのおつかい」にも出てくるものは以下でした。

  • みいちゃんが公園で遊んでいる
  • ふとったおばさん
  • タバコ!のおじさん
  • 筒井商店の広告

ラストにあさえが公園についたページで、遠くのブランコには『はじめてのおつかい』の主人公みいちゃんと思われる黄色と茶色のボーダーのトップスに、赤い吊りスカートの女の子が遊んでいました。隣には男の子がおり、はじめてのおつかいで途中に出会う「ともちゃんかな?」とも思ったのですが、服装や前髪が違うので、その線は薄いと思います。

ここに最初に気づいたので、わが子とじっくり本を見返してみると、大通りのシーンで自転車がぶつかっていたのは、「シバタ電気」店頭に積み上げられた段ボールでした。その店の奥から出てきているのが、何と、『はじめてのおつかい』でパンを買いに来たおばさん!

そしてその店の手前を歩いていたのは、『はじめてのおつかい』でタバコを買いに来たサングラスおじさんです!

また、この大通りのページで主人公のあさえが立っている場所の近くにある電柱には「筒井商店」と広告が貼ってあります。そう、『はじめてのおつかい』の牛乳を買いに行くお店ですね。

『はじめてのおつかい』と同じ町なんでしょうね~。他にもあるかもしれませんので、ぜひ自分で見てみることをオススメします!

「あさえとちいさいいもうと」の姉妹本は?

今作と同じあさえちゃんとあやちゃんの姉妹を描いたお話がもう一冊あります。それは、『いもうとのにゅういん』です。二人ともちょっと大きくなっています。

「いもうとのにゅういん」

  • 作:筒井頼子
  • 絵:林明子
  • 出版社:福音館書店
  • 発行:1983年

詳細は別ページにて

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こちらも「はじめてのおつかい」のキャラクターが背景に登場して楽しめます。いずれも「はじめてのおつかい」と同じ筒井頼子・作、林明子・絵のタッグによる作品。こういった楽しみ方ができるのも面白いですよね。

また、「はじめてのおつかい」についてはコチラ!

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