このページでは、「給食番長」に続くわんぱく小学校シリーズ4作品「飼育係長」「あいさつ団長」「おそうじ隊長」「ちこく姫」を比較検証します。
なお、シリーズ第1作である「給食番長」は別ページで紹介させていただきます。
まさおが主役の飼育係長、生き物を飼う大変さを学ぶ

わんぱく小学校シリーズの第2弾。今回は眉毛のつながった愛嬌のある顔のまさおが主人公です。大丈夫だよ!…で進めてしまう子どもっぽさと、何かが起こり、素直に反省して謝る構図は前回の給食番長と同じ。メンバーも、給食番長に引き続き、まさお・番長・せいじ・たかふみです。それに、動物園の飼育係長いずみさん(女・2~30代)と、園長の山田さん(男・5~60代)が出てきます。「動物を飼うには、食べものだけじゃなく、いろんな世話や気づかいが大事」と、生き物を相手にすることの大変さを心に刻みます。学校を一応舞台にしていますが、ストレートに先生に教わるのではなく、外部の動物園長に諭されるのが、説教臭くなくて良いところ♪子どもたちが自分で気づくという自然の学びにつながっていきます。
「飼育係長」
- 作:よしながこうたく
- 出版社:長崎出版・好学社
- 発行:2008年
【脇役】番長(男)、せいじ(男)、たかふみ(男)、いずみさん(女)、山田さん(男)
みやぞん似のせいじが主役あいさつ団長、新キャラも!

わんぱく小学校シリーズ第3弾。今回はせいじが主役です。2008年刊行なんですが、この顔!この髪型!どこからどう見ても、現在人気のみやぞんの顔ソックリです。いや、給食番長のときからせいじはこのキャラだったので、2007年からですね。みやぞん登場を予見している感じです。また、今回は新キャラ・サムソンとまどかが出てきます。おバカなせいじたちがやんちゃしても「あんたたち!なにやってるの!?」と、まどかちゃんは低学年女子らしく、男子よりしっかりしています。そして今回、せいじたちを諭してくれるのは、保健の先生。心のこもったあいさつの重要性を教えてくれます。
「あいさつ団長」
- 作:よしながこうたく
- 出版社:長崎出版・好学社
- 発行:2008年
【脇役】番長(男)、まさお(男)、たかふみ(男)、サムソン(男)、まどか(女)
掃除の理由を考える絵本「おそうじ隊長」

「なんでぼくたちの教室でもないのに、図書室をそうじしなくちゃいけないんだよ!」
掃除時間なのに、掃除よりもかくれんぼに夢中なたかふみたちは”秘密兵器”を見つけ、ひと騒動を巻き起こし…というストーリー。
わんぱく小学校シリーズ第4弾は、メンバーで一番イケメンなのに赤白帽をいつもウルトラマンかぶりしているたかふみが主人公です。この子も…やっぱり率先してやんちゃなんですよねえ。一人くらい冷静キャラがいてもいいのに…とも思いますが、そこはやっぱり小学生男子クオリティ。みんな興味ある方へ突進してしまいます。でも最後はちゃんと、「学校はみんなで使う場所、みんなできれいにしなきゃ」と反省して締めます。今回は6年生に諭されます。上級生になるともうしっかりしてます。1年生からすると、6年生はかなり上ですもんね。
「おそうじ隊長」
- 作:よしながこうたく
- 出版社:長崎出版・好学社
- 発行:2009年
【脇役】番長(男)、まさお(男)、せいじ(男)、サムソン(男)
シリーズ初の女の子が主役!ちこく姫は脇役も活躍

シリーズ第5弾の今回は初の女の子が主人公。ストーリー上かなり重要な脇役キャラとして、同学年の女番長ちよこが出てきます。また、いつもの番長たちメンバーも結構かかわってきます。今回は今までとちょっと違うのが、脇役もかなりストーリーにからんでくるところと、大人や上級生ではなく、同級生のちよこに諭されるところです。「またちこくして、あんたの言葉を信じたみんなの気持ちを裏切る気かい!?」と。でも、遅刻して被害をこうむるのは同級生なので、同級生から諭されるのは妥当といえるでしょう。
「ちこく姫」
- 作:よしながこうたく
- 出版社:長崎出版・好学社
- 発行:2012年
【脇役】ちよこ(女)、番長(男)、まさお(男)、せいじ(男)、たかふみ(男)、サムソン(男)
学ぶ相手がどんどん身近に、わんぱく小学校シリーズ
給食、飼育、挨拶、掃除、遅刻…。とテーマを繰り広げられてきたシリーズ。はじめ3作品は大人から学んできましたが、掃除からは上級生、遅刻は同級生と、学ぶ相手を身近にうつしています。小学生はだれとでも人とのかかわりとの中で学ぶことができます。素直に反省したり、行いを改めたりできるのを、見ていて晴れ晴れとするのがこのシリーズですね。
これら作品、どれも主人公は違いますが、やはりどの作品でも存在感があるのが番長です。それは、やはりどの絵本でも主役の次に大きく描かれていることに起因します。どの絵本でも主人公の次に立ってやんちゃする番長…これは作者よしながこくたく氏の実のお兄さんがモデルなのだそうです。そろそろ番長に戻って、番長主役の新しい作品を見てみたい気もします。

コメント