新学期ですね。うちは毎朝、保育園に自家用車で連れて行っています。
でも近隣には、犬や新幹線の形をしたスクールバスの幼稚園もあり、わが子もそれを見て乗ってみたい!と羨ましそうにしています。今回は、そんな園に通う特別な乗り物がテーマの絵本を紹介します。
絵本「えんふねにのって」 について
「えんふね」とは?
園船とは幼稚園の船、幼稚園バスならぬ、幼稚園船の意味ですね。
この絵本では、幼稚園に通う手段として、園から船が迎えにくるという話が描かれています。幼稚園バスと同じで、船には先生が一人乗っていて、各停留所で親と別れ子どもだけで船に乗って、園に向かいます。
「えんふねにのって」あらすじとネタバレ
まきちゃんが川沿いで「まだかなあ…」と待っていると、向こうから、えんふねが ゆっくりと やってきました。「かわのそば幼稚園」に出発です。緑豊かな中の川を下りながらの通園で、お友達を乗せたり、途中おばあさんからトマトの差し入れがあったり、地域と交流をしながらほのぼのと通園します。
すると、川の途中で丸太が散乱しているという現場に鉢合わせます。そこでとった解決策が、クレーンで船ごと吊り上げて、川をふさぐ丸太を越えて空いている水上に下ろすというもの。吊り上げられると、まるで船が空を飛んでいるようで、みんな大興奮です。そして最後は無事、船は幼稚園に到着したのでした…。というお話。
「えんふねにのって」
- 作・絵:ひがしちから
- 出版社:ビリケン出版(のちBL出版)
- 発行:2006年
子どもたちの感想は?
船で幼稚園に通うこと自体が夢のようなお話に加え、さらに、船が宙を舞うという壮大なストーリー!ということで、うちの4歳・6歳・8歳の子らはとても楽しんでいました。特に乗り物好きの4歳男児は、船&クレーンのコンボで、大興奮です!
親の私にも、夢のある話で、とても楽しめる本だと思います。
「えんふね」の実在は?
調べてみたところ、瀬戸内や沖縄の島々では、個人で船に乗って、保育園または幼稚園に通っている子もいるようです。
ただ、園側が船を用意して、子どもを船に乗せてまわるというところは、見つかりませんでした。おそらく、存在しないのではないかと思います。まあ採算は取れないでしょうし、何より、船はリスクが高いですもんね。
作者ひがしちからさんが語る物語の裏側
「えんふねにのって」の作者は、ひがしちからさん(1972年大分県生まれ)。2006年に本作でデビューをしました。作者のひがしさんいわく、この本は「理詰めで考えて作った」本と言います。
まず、「最初の出だしで魔法をかける」というひがしさんの中のセオリーにのっとって、始めは何かを待っている女の子のシーンから描いたそう。そこで読む人は何がくるんだろう?と興味を持ちます。その次の船が現れるページでは、女の子を描かず、読む人と女の子が同じ目線で「来たー!」と感じることができると言います。
また、真横のアングルや引いた構図など、カット割りも飽きさせないように様々に工夫をしたほか、物語に深みを持たせるために、ほかの園児たちの様子も細かく描いたそうです。
私たちはひがしさんの目論見にまんまとハマってしまっているわけですね!でも、それをいやらしく感じさせず、とても上手いですよね。
ひがしさんは、子どものころよく船に乗って磯釣りに出かけたりしたそうです。そんなワクワク感も、詰まっているんでしょうね!
NHK「てれび絵本」でも読まれている!
こちらの作品は、NHK教育で絵本のCGとともに読み聞かせをする番組「てれび絵本」でも取り上げられています。前編と後編に分かれ、とても楽しく見ることができます。2019年は4月8日・9日での放送でしたが、このてれび絵本は、何度か再放送をするので、また見ることができると思います。
CGで絵本の絵を少し動くようにしてあるわけですが、今作は、やはり空を飛ぶシーンが必見です!本当に飛んでいるかのような錯覚を起こします。
語りは女優・タレントとして活躍する高田万由子さん。東大卒の才媛で夫はバイオリニストの葉加瀬太郎さんですね。物語の世界を温かく語られています。
「えんふねにのって」まとめ!
船で空を飛ぶなんて、大人も子供も読んでワクワクする作品です。そのワクワクには、作者による工夫が凝らされているのだとしみじみ感じました!
参考URL
mi:te 「絵本作家インタビュー ひがしちからさん」 https://mi-te.kumon.ne.jp/contents/article/12-169/
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